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デジタルファブリケーション部門

デジタルファブリケーション部門Digital Fabrication Department

デジタル ファブリケーション部門の
活動内容について技藝院副センター長・DF部門長 内田 和美

 近年デジタルイノベーションにより急速にDF(デジタルファブリケーション)が普及しました。デジタルファブリケーションとは、3Dプリンターや工作機器によるデジタル技術を活用したものづくりの手法です。その活用法が急速に進化したことで、膨大なデジタルデータのシームレスな連携と活用が広がり、素材の自由度や試作を含むものづくりが驚くほど素早く精密に実現可能となりました。
 技藝院設立当初から最新のDF技術導入を行い、文化財保存・修復などにおいて有効活用を試みながら、伝統工芸を基にした芸術領域におけるDFの実践と展開を通じて、現在4つの軸を中心にチャレンジを進めています。

技藝院が目指すDFの4つの柱

① DFを活用した文化財の保存・修復
② 文化財等のDX推進
  (デジタルアーカイブされた美術品等のVR体験、デジタル美術館構想)
③ 匠と技のデジタル教育
  (伝統技術のデータ化と次世代3Dモデラー育成)
④ 伝統と新たな産業領域におけるデジタルとの融合進化

本学所蔵「大郷コレクション 桐葉文花器」の3D Scaning Data編集

単なるものづくりのデジタル化や効率化の先にある技藝院のDF

技藝院が目指す4つの柱からなるDFとは、最新のデジタル技術と伝統の「匠の技」の融合により、新たなデジタル造形領域展開を図り、過去から未来へとその領域の可能性を広げながら、芸術の魅力と可能性を加速させていきます。

①DFによる新たな文化財の保存修復・継承

デジタル技術の活用により、従来不可能であった非破壊による文化財(美術品)解析や、デジタルモデリングをベースとした修復ならびに保存継承が可能となっています。技藝院では更に、「触れる・感じる」技術伝承、フォトグラメトリー(写真3D測量法)を使った建築物等の大型文化財のデータベース化に取り組んでいます。

②デジタル「美術館」への展開

従来の物理的な制約を超えた、デジタル空間内の美術館に「作品展示」を行うDFをベースとしたVR/MR展開を進めています。

③次世代3Dモデラ―の育成

大学教育機関において最新のDF設備と環境を用いながら、新たな文化と未来を創り・育む次世代デジタル人材の育成教育の場づくりを進めています。どのように新たな造形表現に展開していくかを実践的に考察を行いながら、デジタルとアナログ両面からの次世代3Dモデラー育成の可能性を模索しています。

④新領域との融合進化

技藝院に所属する研究者は大学機関や国立研究所機関との研究にも携わり、人体解剖の3Dデータベース作成や企業との研究開発も行っています。研究者はデザイン開発やアート作品制作も積極的に行い、デジタル造形領域におけるDFの進化が技藝院において重要なポジションを占めています。

技藝院のDFが目指す未来

今後は伝統を軸に人の手に宿る「技と巧み」とDFの融合による新たなものづくりを加速進化させ、技藝院が更なる芸術の未来に向けて、人と技術と芸術をつなぐ場となることを目標としています。

技藝院DFの取り組みと展開

3Dモデリングシステムについて

技藝院ではZbrushやGeomagic FreeFormをはじめ様々な3D編集ソフトを活用し、文化財研究・新しいものづくりへの研究をおこなっています。Freeformはボクセルを用いた精密な有機形状を得意としており、ハプティクスデバイス(触感デバイス)によりデジタル上で反力を得ながら彫刻可能な3Dモデリングシステムです。文化財修復においては破損した箇所を過去の文献から紐解き3D上で復元し、その後様々な研究利用が可能となります。

高精細3Dスキャナーについて

美術品や文化財の3D計測を行い、高精細3D計測データから3Dソフトを介したデジタルアーカイブを行います。非接触式3Dスキャナー(Artec LEO)や、赤外線レーザーとブルーレーザーのハイブリット3Dスキャナー(KSCAN-MAGIC)を用い、光沢物のデータも高精細に取得可能です。3D計測することによって、今まで目では見えなかった情報を可視化することができ、また形を正確にデジタルデータに置き換えることが可能です。大学収蔵品のデジタルアーカイブからデジタルミュージアムへのAR活用にも研究展開しています。

教育利用について

デジタルモデリングを使用することにより、手では造ることができなかった形状や、重力に制限されない造形が可能となり、彫刻、工芸、プロダクト等の教育プログラムで活用します。
教育利用では3DモデリングソフトZbrushでの造形から、3Dプリント出力までを一貫して行いながら、学生個々の研究分野での新造形技術との融合につなげます。また、3Dスキャナーや3Dソフトを使用してリバースエンジニアリングの習得も可能です。

2022年度 卒業制作のEV・試作とCAD Data

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